WantからCareの時代へ

 カンヌ国際映画祭でこれからは「WantではなくCareの時代」というメッセージが発信された。らしい(近所のおじさんが言ってた)。言い得て妙である。私の祖父は田舎の小学校で成績が一番良かったらしいが、当時は成績順?で徴兵され、生還したものの成績の悪かった同級生が小学校や役場に勤務しており、祖父はそのまま家業の農業と林業に就くしかなかった。「時代が悪かった」と。悪かったのは戦争に突き進んだ時の為政者だと思うが。時は流れ、医学部入学の男女差別などがニュースとなることはあるものの、自身の「Want」を追求できる時代になってきた。しかし、そんな時代は長くは続かなかったように思うし、その象徴が表題の「Careの時代」であろうか。

 遅かれ早かれ人間は、20歳を超えると「Want(自我、エゴ)」から「Care(慈悲)」へ移行せざる得ない局面を迎えるもので、そのきっかけは結婚だったり、出産だったり、病気のようなライフイベントかもしれない。ただ、前者だけではわがままであり、後者だけでは偽善になるきらいもあり、両者を並行して行いかつ、幸福感を得るような生き方にあこがれを感じる今日この頃である。